2021-05-11

石巻への移住を決めた理由と、移住後に石巻で展開した活動、これからの展望について:2021

 


石巻への移住を決めた理由と、移住後に石巻で展開した活動、これからの展望について:2021


・石巻への移住を決めた理由:


RAF2017のキュレーターの和多利浩一さんより「キワマリ荘」みたいのやってくれない?と提案される。が、やるなら引っ越さないといけない。今は結婚もしてるし流石にリスクが高すぎる(実際2年目に貯金は底をつき、妻に泣かれる事になる。)ので、別の案を考えていた。だが結局、キワマリ荘しかないか!と覚悟を決め、妻を説得する。なぜ引っ越す必要があるのかといえば、地元の方達(作家も含める)の信用を得ないと無理だと感じたからだ。

そもそも私は、こういった芸術祭を嫌っていた。理由は終わった後どうすんの!?って思ってたからだ。だからこそ、自分が参加するなら、その後を考えたプランを提示しないと意味がないと考え引越し、住民票も移し、そのスペースを石巻の作家だけで運営し、この場所のアートの基礎を作ることを目標にした。



・移住後に石巻で展開した活動:


RAF2017で生まれたスペースを「石巻のキワマリ荘」と改め、石巻の作家を集め、石巻の作家だけでスペースを運営して行くことになる。そこにRAF2017に鑑賞者として京都から来ていたミシオ(当時19歳)が合流。ミシオは石巻のキワマリ荘に住みながら展示して行くことになる。


2018年2月~2019年2月まで、1F:GALVANIZE gallery(代表:有馬かおる),2Fa: setten(代表:古里裕美),2Fb:マニマニ露店(代表:シマワキ ユウ),2Fc:おやすみ帝国(代表:ミシオ)。


2019年3月より、有馬が運営から退き、キワマリ荘とGALVANIZE galleryの代表が富松篤になる。メンバーも入れ替わり古里裕美、シマワキ ユウが卒業し、地元作家のSoftRib、鹿野颯斗、ちばふみ枝(2020年1月、2Fbにmado-beyaオープン)が加入。


脱退した有馬は守章(地元作家)の希望により、石巻のキワマリ荘から徒歩5分ほどの場所に守章実家の青果店の2FにART DRUG CENTER(ADC) を12年ぶり復活させ共同運営をすることになる。

RAF2019の時に石巻のキワマリ荘の作家だけのチームで参加し好評を得ることになるが、ここに参加していたミシオに憧れ、当時19歳の平野将麻が石巻に移住しADCにスペースを持つことになる。

ADCは、(1F )メイドルーム。:平野将麻(2F)KUMAKAN:いぼくま、Kurokuma micco、ADCスペース:(守章&有馬かおる、キラギロギャラリー:キラーギロチン(森内一生、岩渕わか菜、石津光、ナカヤケイスケ、岩間智紀)、ワクチン:金澤弘太、MOLE GALLERY -REBORN-:大鎚秀樹、潜ルBLD:後藤拓朗

2020年5月に平野将麻が独立し、THE ROOMERS' GARDEN(石巻のキワマリ荘とADCの中間)をオープンさせる。3月にKUMAKANが卒業、7月より、かんのま子(予定)が加わる。


現在、鹿野颯斗(石巻の若手作家:2021年6月より石巻のキワマリ荘代表RAF2021と関係なく企画を構想している。石巻にすでにある3つのアートスペースを中心に何かをやってくれると思う。



・これからの展望:


今までは、バラバラになっていた石巻周辺の作家(文化人)を一つにまとめ(孤独にならず、関係性を持って切磋琢磨し、上を目指し幸福度をあげる)シーンを作ることが重要だった。アートだけではなく地元の文化と繋がる。また、歌人や演劇関係者などが多く住んでいるこの場所に「劇場キネマティカ(複合サブカル施設、石巻のキワマリ荘とART DRUG CENTERの間)」設立の準備も着々と進んでいる。

そしたら今後は、集客や雇用の問題になってくる。どうやって、人をこの街に呼ぶのか、どうやってこの街にお金を落としに来てくれるのか。

だがしかし、それを私が成せるのか!?は不安である。し、私じゃない人がしても良いし。そんなわけで、私は、私で個人的にこの場所に来て、この場所でしか生まれなかったモノを制作しようとは思っていて、写真を始めた。ただ、絵が描けなくなると写真を撮り始め、写真を撮ってる(風景社会観察)と、絵を描きたくなってくるので、いつもモノになる前にやめてしまう。今回はデジタル一眼を買ったので写真でもう少し先にいってみたい。


最後に、

石巻の駅前はぱっと見れば元に戻っている。10年頑張って来た人たちはへとへとだ。もう十分だと声もする。しかし、この場所が元に戻るってことはシャッター街に戻ったということだ。だから、ここからが本当の始まり。もうひと頑張りいるのだ。この場所にはまだ廃墟、解体中の建物、新築のマンションが共存している(開発途中で塩ずけに成ってる場所もある)。

石巻のキワマリ荘の隣に大家さんの電気店がある。そこに住めるように成ったのは2017年だ。震災から5年以上経っている。信じられない、今時マンションだって2年あれば建つ。今も大雨がふればひざ下まで水没する箇所がある。下水管が土砂で埋まってる。

震災後に来てくれボランティアはもういない。人が減っているの。今いる人たちは、パートナーをその間にここで見つけた人たちだ。人は減り続け空き家が増えているのに、マンション立ててる。

この街は、まだまだこれからなのだ。