2011-04-22

リンゴの夢




20〜30代の頃、よく見た夢がある。
自分自身が、不安になるくらいよく見た夢。
年に一回は見たと思う。


リンゴの夢:


私は、台所にいる。
母親が夜食の準備をしている。
テーブルからそれを見ている私は子供だ。

父親が帰ってくる。
母は、玄関に行き、色々してる。
音だけ聞こえる。

父親がテーブルにつく。
食事が始まる。

父親は、家では何もしない。
ヒゲをはやし、
完全な家の長であり、威厳。

私は緊張しながら食事をする。
デザートに、皮を剥いたリンゴがでる。

ある日。

母親が車の事故にあう。
かなり、酷い事故。

朝。

私が台所に行くと、
父がタバコを吹かしながら、
リンゴ?を食べていた。

お前も食えっ」とリンゴ?の入った皿を前に出した。
奇妙な形をしたリンゴ?がいくつかある。
皿の上に、ごろごろした感じであった。

母は、椅子の上に奇妙な形で丸くなり、
リンゴをカジって食べていた。

入院から戻った母は、手足が色んな方向に曲がり、
脳に障害残り、
うまく手足を動かせない。
言葉も、時間をかけて、片言。
ほとんど、聞き取れない。
いつも、よだれが出ていた。

父が言った。

今、お母さんに、リンゴを剥いてもらっている。
お前も、食べなさい。

母の椅子の下を見た。
大量にリンゴの皮が落ちていた。


私は叫んだ。


気づくと、別の家にいた。
のどかな風景が窓から見えて、風が入ってくる。
おじいちゃんが、父の愚痴を言いながら、作業している。
母方のおじいちゃんの家にいるようだ。

私は、お腹がすいたので、台所に行く。
父がいた。
そして、普段どうり、

お前もリンゴを食べなさい。」と、言った
となりで、母がリンゴを歯で剥いていた。
手とリンゴがよだれで光っていた。

もの凄い音が遠くから聞こえて、
台所の扉が、はじけた。

おじいちゃんが、包丁をつかみ、

お前みたいなヤツは!
お前みたいなヤツは!
父をにらみ、包丁を振り上げた。

近くに置き時計が見える。
父とおじいちゃんは、もつれあう。

包丁が手から離れ、空中に舞う。
スローモーション。

その時、
私は子供では無く、映画館でそれを見ている。
その時の年齢で。

包丁がスローで、おじいちゃんの背中に刺さる。
もの凄い音がする。

この音は、いつも目覚ましの音。
目が覚める。

なんて酷い父なんだ!
母がかわいそうだ!
なぜ、おじいちゃんの背中に刺さるんだ!
(ちなみに、実際の父は家事もしたし、夢に出てくる人は会った事がない。)
なんなんだ、この夢は!
と、いつも思った。



そして、その日がくる。

いつもの様に、同じ夢を見て、目覚ましで起きた。

泣いていた。
いつもと違っている。

母は幸せだった、かもしれない。」
そう思った。

モノの見方、
考え方が全く変わった事に気づく、

父は、事故の後も、何もしなかった。
母が必要だったのだ。

どんなに時間がかかっても、
母に色々させた。

リンゴの皮むきもそうだ。
包丁が持てないから、歯でかじる様に剥いた。
そのリンゴを父は、幸せそうに食べていた。

私は思い出して泣いた。

自分の夢で泣く。
というのは変な話だし、
この話自体が結局変態の話か!?
って感じだ。

しかし、
この夢は、私にとって深い、
私の思考のベースになった。

そして、この夢を見なくなった。